スポンサーリンク

【日韓カップル・日韓夫婦】日韓での結婚観の違いと、そこから見える韓国社会

その他

こんにちは、そんあじです。

昨今は日韓カップルもかなり増えているようです。ただカップルでいるのと、結婚を目指していくのはまた別の大変さがあるようです。

特に国際結婚となりますので、手続きの煩雑さや準備書類の多さはもちろん、文化や国の雰囲気によって結婚観や結婚の常識が異なります。

今回はビザ申請方法などの書類準備でなく、そもそも日本人韓国人は結婚をどう考えているのかについて調査しました。

スポンサーリンク

初婚の平均年齢は?

日本 男性  31.1 歳 女性  29.7 歳 (2022年)
引用元:厚生労働省「令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/dl/gaikyouR4.pdf

韓国 男性  33.7 歳 女性  31.3 歳 (2023年)
引用元:여성가족부「2023 통계로 보는 남녀의 삶」
여성가족부 공식 블로그 : 네이버 블로그

どちらも政府機関による調査を引用しました。

この発表によると、日韓は男性で2.6歳差、女性で1.6歳差があり、男女ともに韓国の方が初婚年齢が遅いことが分かります。

女性からすると30歳を超えているか超えていないかでは、1.6歳差といえども感覚的には大きな差があるように感じます。

韓国の結婚が日本より遅い理由

これに関しては感覚的な話や実際に見聞きした話ですが、以下の理由かと思います。

①韓国では兵役・留学がある

韓国の男性は兵役の義務があります。兵役は約2年間です。(何軍かや時代によって異なります)

芸能人などの特別な方を除き、韓国の男性の多くは、大学や短大の在学中に休学をし、兵役を完了して、大学に戻って卒業し就職。というケースが一般的です。

兵役自体は約2年ですが、復学可能時期にギリギリ間に合わずに、復学がもう1学期遅れるという場合もありえるかと思います。

そのため男性は就職できるのが日本より物理的に2年は遅れてしまうため、初婚年齢もその分遅くなる可能性が考えられます。

また韓国の男性も女性もですが、学生の時に海外留学に行く割合が日本よりもかなり高いと感じます。

留学するには休学をする場合もあるわけですから、卒業時期が遅くなる→就職時期が遅くなる→結婚も遅くなる。という流れです。

②結婚意識の差

日本もかなり生活が苦しくなっています。

それは韓国も同じことで2011年頃から「三放世代」という新造語が生まれました。

「三放世代」とは、文字通り「3つを諦めた世代」という意味で、若者が諦めるしかないその3つとは恋愛、結婚、出産です。


韓国は良い大学を出ても就職が出来ない、不動産などが買える値段ではない、物価も日本より上がっていることなどから、この3つを諦める若者たちがいることを表しています。

厳しい韓国社会と、そこで生きる若者たちの絶望感をよく表している単語で、三放世代から派生し、五放、七放…と増えて今は「N放世代」という言葉も生まれています。

その若者のシビアさというのは韓国の統計にもよく表れています。

これは社会調査で見る青年の意識変化という発表で、韓国の統計庁から2023年に発表されたデータです。(引用元:https://www.kostat.go.kr/synap/skin/doc.html?fn=7e90f0571f7aed35ff9d6f2398443cdff693aae0fbcbde083f08f2eb86ebd49f&rs=/synap/preview/board/219/)

興味深いので韓国語が可能な方はぜひ拡大してご覧ください。

いくつかだけ抜粋します。

一番上の「結婚について肯定的」な若者の割合は36.4%です。つまり韓国の約3分の1の若者しか結婚に肯定的でないようです。10年前は56.5%と半数を超えていました。

③社会への絶望感

それでは、なぜ結婚をしないのかの理由も統計右上から見られます。拡大してみます。

結婚をしないと考える理由は?という2022年の質問に対し、ピンク色が未婚女性の回答、青色が未婚男性の回答です。

この回答の男女とも理由の1位は「結婚資金の不足」です。特にそのように回答した男性の割合が40%を越えています。

2位は「結婚の必要性を感じない」です。女性が23.7%と1位の回答と大きな差はないのに比べ、男性は13.3%と1位との差がかなり大きいことが分かります。

統計から推測できることとして、女性は「結婚しなくていい、結婚したくないという意見が認められるようになった」こともありますが、特に男性の多くは「結婚したくないのではなく、お金がなくて結婚出来ない」というのが現実ではないでしょうか。

この韓国の若者社会を取り巻く一種の絶望感というのは、体感上は日本よりももっと深刻です。

日本だと都市部以外の人は「高卒で働き始めて手に職をつけ、地元の人と結婚し、自分の実家近くにマイホームを建て、子どもを何人か産んで暮らす」というのが、よくあると思いますが、おそらく韓国では難しいかと思います。

まず韓国では高卒というのが社会的雰囲気からもほぼ許されない選択肢です。さらに皆が進学などを機にソウルに上京し、その後も皆がソウル(もしくはソウル圏内)に住みたがるという状況であり、自分の実家近くの田舎に戻って結婚しましょうという選択をする方は多くないでしょう。

すると実家の親の子育て支援も受けにくい、皆がソウル近郊に集まるために(ソウルは小さな都市です)家が不足し、不動産価格も買えないような値段になっている状況ですと、結婚は現実的に難しいと考える若者が多い理由になりえます。

大学、しかも良い大学に行かないと負け組、アパートに住めないと負け組、ソウル近郊に住めないと負け組…という考えは間違いなくソウルを取り巻いています。

日本のように色々な生き方や、学歴や田舎蔑視もなくなることが、韓国にとっても韓国の若者にとっても大事なことだと思います。

④スプーン階級論

それじゃあ、頑張って働いてお金持ちになろう!と野心を抱く方もいるかもしれませんが、先ほど三放世代を紹介しましたが、多くが諦めの境地です。

それを表すスプーン階級論をご存じでしょうか。

金持ちの子は「金のスプーン」と呼ばれ、貧乏の家出身者は「泥のスプーン」と呼ばれます。つまり、実家が金持ちだと子も金持ち、親が貧乏だと子も貧乏という考え方です。

結婚準備でネックとなるのが家です。不動産価格は日本のように現実的な値段でなく、普通の高層マンションの一室(韓国ではアパートという)を買うのに、日本だと3千万円くらいのものが、韓国では「3億円~」です。

実家が金持ちだと結婚を機に、親が不動産投資用であちこちに買ってあった家を譲り受ける、なんてこともあり得るわけです。

韓国では住んでいる場所や通っている学校、親の乗っている車などからも、他人から経済状況を推測されて優待・差別をされることが起こりうる国です。

このような状況を幼い頃から目の当たりにし、そのように育ってきている韓国の人からは、いくら頑張っても今のスプーンの色の枠以上は変われないというような絶望感というか、諦めの気持ちが芽生え、「下剋上してやる!」というような野心は生まれにくいかもしれません。

スプーン階級論というのはある意味昔の身分制のようなもので、スプーンの色によって住む場所が決まり、会える人脈も決まり…という状況をよく表す言葉であると思います。

⑤その他

文化の違いという面からも少し話していこうと思います。

日本だと結婚は「自分の実家から出て、新しい一つの家庭が誕生する」というイメージがありませんか?

両親たちの立場から見ると「自分の娘、息子は、やっと独立・自立して新しい家庭を築けたのね」というイメージです。

韓国はそうではありません。結婚は、「両親、両親を取り巻く親族、親族を取り巻く「家」」から抜け出すことを意味するわけでありません。

あくまでも結婚は2人だけのものでなく、「両親、両親を取り巻く親族、親族を取り巻く「家」」という大きな枠組みの中に組み込まれた上でのものであります。

そのため韓国に結婚を機に移住した日本人たちの多くは、義両親との距離感や、その親族の家の行事に参加することを強制されるなど、日本とは異なる距離感に苦労している姿がネット上でもよく見られます。

もちろん、時代も変わって韓国の若い人たちはそのような考えに反対している人も多い訳ですが、だから一人でNOといって解決する問題でもなく、飲み込まれてしまうことも多い訳です。話を聞く限りでは両親世代(50~60代の方)でも日本よりかなり保守的な方が多い印象ですよ。自分たちから見ると日本のひいお祖母ちゃん~お祖母ちゃん世代みたいな考え方だなという感じです。

子どもは産め、両親も親族も家族なんだから秘密はなしよ、家族なんだから何で立ち入っちゃダメなの?、家族だから財布も一緒よ…などなど

朝鮮時代から韓国に深く染みついている儒教の考え方もあるかと思います。まあ両親世代も相当苦労してきているんでしょうから…(詳しくは『82年生まれキムジヨン』という本を参考に。日韓共通、そして韓国ならではの女性への差別や、女性の生きづらさが書かれた本です)。

もちろん個人差はありますが、煩わしいことが嫌いな若い世代には結婚は魅力より面倒なことが多く映るのかもしれません。

おわりに

今回は様々な統計も引用して、日韓の結婚への意識の差や、これを通して韓国社会の紹介が多少出来たかと思います。

何事も絶望より、希望が多い世の中になってほしいですね。

以上、そんあじでした。

コメント

  1. […] […]